正平調

時計2021/08/01

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幼いころに見た光景が、人生の道しるべになることがある。この方にとっては、無残に焼けた街がそうだった◆1940(昭和15)年、名古屋で生まれた。自宅の近くに高射砲陣地があったから、戦時中は激しい爆撃に遭ったという。落ちたのが不発弾だったため家は無事だったが、街は焼き尽くされた。校舎も燃えたので、工場などで勉強したそうだ◆戦争の怖さ、大切なものを失う悲しさ。少年の心に焼きつけられたものは、いくつになっても薄れない。大学に入ったころは60年安保で揺れる政治の季節だった。迷うことなく抗議デモに加わっていたそうだ◆ノーベル物理学賞を受けた益川敏英さんである。このほど81歳で亡くなった。みんなをクスッと笑わせたユーモアが忘れられないが、柔らかい笑みにくるんだ固い信念を、今はかみしめたい。それは平和を願う心◆自衛隊の任務を広げた安倍政権時、抗議集会を伝える記事で益川さんの名前を何度も見かけた。「首相が有事と思ったら戦争ができる。とんでもない話だ」「つらい思いを子どもや孫にさせたくない」。戦争はいやだと、一つ一つの言葉が叫んでいる◆「市民」という2文字をよく使っていた気がする。市民として、市民運動、市民の良心。忘れまい。忘れまい。2021・8・1

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