正平調

時計2021/08/02

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往年のプロ野球選手、榎本喜八さんは天才肌の強打者として知られた。打撃の極意を聞かれ「臍下丹田(せいかたんでん)で捉える」と答えたのは有名な話だ。へその少し下にある場所に、「気力」を込めるのだそうだ◆榎本さんの理論は、常人には理解が難しい。「打撃の神髄 榎本喜八伝」(松井浩著)を読むと「バットの芯と身体の芯を結ぶ」とある。難解さ故か、75歳で亡くなるまで一度もプロのコーチに呼ばれなかった◆臍下丹田は、各界の名人も重視する。ある高名な歌手は、声を響かせるために「丹田を噛め」と弟子に指導していた。11月にウィーン・フィルを率いて姫路へ来る指揮者、リッカルド・ムーティさんもしかりだ◆リハーサル風景を映像で見た時のこと。ムーティさんはバイオリン奏者を「ここから演奏していない」と叱り、へその下を指さした。弦楽器と臍下丹田は関係ないだろうにと思った瞬間、響きが明確に変わった◆無観客の東京五輪で日本選手の活躍が目覚ましい。頂点に立った選手たちの多くは、開催への感謝を口にする。「いろんな意見があるのは分かる」という発言もあった◆五輪開催を疑問視する声が、選手の耳に入っていないはずはない。それでも批判はぐっとのみ込み、臍下丹田に気を込めたのだろうか。2021・8・2

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