正平調

時計2021/08/11

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高さ634メートルの東京スカイツリーは2012年、東日本大震災の翌年に完成した。そのころ、宮城県の地元紙・河北新報に寄せられた被災者の歌がある。〈スカイツリー雲より上に高いってな俺げの田んぼは凹(へこ)んづまったに〉◆新名所にわく東京と、あすをも見通せない暮らし。その落差が詠まれている。大震災から10年と5カ月。このほど終わった東京五輪を、被災者はどう見つめたのだろう◆「被災地と関係のない、東京の大会だった」。原発事故で町外避難を強いられた男性の声を、本紙が伝えている。そうした感想がすべてではないにしても、「被災地のいま」に目が向く機会は確かに少なかった◆経緯はどうあれ、東京五輪は「復興五輪」を掲げ招致されたはずである。それが世界がコロナに染まるや、看板は下ろされた。伝える側の自省も含め、苦い思いが残る◆福島で試合をした米国ソフトボールチームの監督が、差し入れの県産モモを激賞したという話はうれしかった。あまりのおいしさに「食べすぎて太ってしまった」とか。風評被害に苦しんできた農家にとっては、涙がこぼれそうな言葉だったに違いない◆一度は“凹んづまった”心を奮い立たせ、復興への思いをこめて育てた作物はどれもしみ渡るうまさだろう。2021・8・11

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