正平調

時計2021/08/23

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小紙夕刊で「ひょうごきり絵探訪」を連載中の前田尋さんの師匠は故加藤義明さんだ。日本の切り絵美術を切り開いた先駆者で「東の滝平(たきだいら)、西の加藤」と並び称された◆紙とナイフの芸術、切り絵。鋭い刃による描線が複雑な陰影を醸し出す。東京の滝平二郎さんは人々の暮らしや表情を詩情あふれる画風で表現した。加藤さんは大阪の街並みや祭り、民話、落語、文楽を描いた◆NHKドラマ「けったいな人びと」のタイトル画を制作し地下鉄淀屋橋駅ホームの巨大壁画も作った。高度成長期以降、著しく変貌する大阪に腰を据えて、守るべき上方の情景を大胆かつ繊細な線で描き続けた◆「切り絵の可能性を追求する」。七夕の下げ飾りや奥三河の花祭りの「ざぜち」など各地に伝わる紙の技を調べ歩いた。寡黙だったが、内に燃えるような情熱があった◆戦時中、疎開先の柏原中(現・柏原高)で学んだ。丹波市山南町出身で後輩に当たる前田さんは残された約60点もの名作群の保管や展示を各地の美術館などに依頼した◆しかし行き先は決まらず、梱包(こんぽう)された状態で大阪の喫茶店に保管されている。このままでは散逸しかねない。今年で没後11年、生誕90年になる。切り絵にかけた師の思いを未来につなぎたいと前田さんは願う。2021・8・23

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