正平調

時計2021/09/01

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情感あふれる詩画をあれだけ多く残した人ですら、目の前の惨状をどう伝えていいか悩んだらしい。関東大震災の直後、竹久夢二は書きとめている。「どんな最大級の形容を持ってしても」「適確に言い表す言葉を持たない」と◆住んでいた東京の街が火炎にのまれ、人が死んでいくのを見た。大声で叫びたいような感情にとらわれながら、それでも夢二は連日、被災地をスケッチして歩いたという。それは芸術家の本能でもあり、災禍に立ち会った者の使命感でもあったのだろう◆大震災は1923(大正12)年の9月1日に発生し、死者、不明者はおよそ10万5千人。きょうは過去の災害に学び、“次”への備えを再点検する「防災の日」である◆今年の夏もしかし、土石流や大雨によって多くの人命が失われた。新型ウイルスとの長い闘いのさなかでもある。きのうの痛ましい教訓をきょう生かさねば、あすの命は守れない。そういう時代に私たちはいる◆夢二はあれから「暦」という詩を書いた。〈破れた壁に/めくり忘れたカレンダア/いつもいつも九月一日/うごかざる時計をまけよ。/悲しむものを起(た)たしめよ。〉◆毎日が9月1日-詩人の声は「その日を忘れるな」とも聞こえる。戒めとして胸に刻み、備えを怠るまい。2021・9・1

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