正平調

時計2021/09/05

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神戸新聞社の記者となったのは1957(昭和32)年である。戦争を体験した人が編集局にもたくさんいたころだ。その先輩記者の一人からたたきこまれたという「記者三訓」がある◆(1)必ず現場へ行き、自分の目で確かめろ。いかなるときも、この鉄則を怠るな(2)上を向いて仕事をするな。上とは権威のことであり、上司でもある(3)攻める側ではなく、攻められる側にいつも身を置くように◆あの時代への苦い記憶をたたえた「三訓」を伝えたいと思ったのだろう。本紙の記者研修で力をこめて話し、NHKのラジオ番組でも時間を割いて振り返っていた。「不幸な歴史を繰り返すな」という思いを託し◆経済評論家、内橋克人さんである。89歳で亡くなった。経済記者を経てフリーのジャーナリストとなり、企業のありようなどを鋭く問うてきた。ほれぼれするような切れ味で政治の緩みもぐさりと刺していた◆著作や客員論説委員としての本紙寄稿を読んでよく思った。自分の目で見て考える。権力におもねらず、言うべきことは言う。立場の弱い人々の側に立つ。思い出話の「三訓」ではなく、自身の背骨でもあったと◆「大変な時代だけど、頑張って」。やさしい口調の励ましを思い出しながら、今はただ、高い頂を仰ぎ見る。2021・9・5

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