正平調

時計2021/09/24

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里山をのんびり歩けば、稲刈りの光景に出合う季節となった。ヒガンバナの咲くあぜ道と、涼やかな音をたてて流れる水路。空は高く澄んで、こうべを垂らした稲穂が時折、風に揺れる◆農家の稲刈りを手伝ったときの話を、料理人の田村隆さんが食のエッセーにつづっていた。「米のぎっしりつまった稲穂がこれほど重いとは、知らなかった」。雨風でなぎ倒された稲を持ち上げて驚いたという◆2時間ほどの手作業で腰はがたがた、足はがくがく。その分、夜の米の飯は格別だった。「はらぺこという調味料」に「ありがた味という甘味」が効いていた、と(白水社刊「つきぢ田村の隠し味365日」)◆米はうまさの極致、だから毎日食べられる。そう礼賛したのは美食家の北大路魯山人だったが、白米が何よりのごちそうに思えた昔は遠ざかりつつある。「毎日必ず食べる」派も次第に減ってきているのだろう◆魯山人はいっとき、一流といわれる料理人にまず尋ねたそうである。君は飯が炊けるか? 満足いく答えが返ってこないことに不満を抱いたらしい。「飯は料理の一番大切なものなのである」と書きとめている◆店頭に並んだ「新米」のシールにときめき、手にとった。きっとツヤよし、香りよし。心して炊くとする。2021・9・24

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