正平調

時計2021/10/13

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「米」の字を分解して俳号八十八(やそはち)。〈うちの子でない子がいてる昼寝覚め〉。あるいは〈風鈴も鳴らず八月十五日〉。落語家、桂米朝さんの俳句の腕前はファンにはおなじみだろう◆米朝さんも属した句会「東京やなぎ句会」は1969(昭和44)年に始まった。メンバーを見ると、宗匠の入船亭扇橋(いりふねていせんきょう)さんをはじめとして、小沢昭一さん、江國滋さん、永六輔さんらそうそうたる顔ぶれである◆柳家小三治さんもいた。記憶に残る句を好きに挙げれば〈あめんぼう君なら渡れる佐渡島〉。また〈旧姓に戻りましたと秋めく日〉。とぼけた口調におかしみがあった高座での名人芸に似て、どれも味わい深い◆〈立春や噺家(はなしか)やっとお正月〉には、多忙を極めた人気落語家の実感がこもっていよう。月1回の句会では世の中のしがらみすべてを忘れ、仲間でバカになって語り合うのが楽しかったと、自伝で振り返っている◆一人語りが人気を博した小沢さんが9年前に世を去ったときには、面影をしのんでこう詠んだ。〈もう一度上がってたもれ冬の寄席〉。落語ファンは今、小三治さん自身にその句を重ね、涙していることだろう◆〈国宝も国辱もゐてやなぎかな〉。小沢さんの句という。人間国宝の米朝さんも小三治さんも逝ってしまった。2021・10・13

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