正平調

時計2021/11/02

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「汽車の窓」「駅夫(えきふ)」、または「停車場」など、石川啄木の歌集をめくれば、鉄道にまつわる言葉によく出合う。〈何事も思ふことなく/日一(ひいち)日(にち)/汽車のひびきに心まかせぬ〉。のんびりと揺られる感覚が好きだったとみえる◆かと思えば、何やら背筋が冷たくなるような一首も。〈いつも逢(あ)ふ電車の中の小男(こおとこ)の/稜(かど)ある眼(まなこ)/このごろ気になる〉。とげのある目をした乗客に不安を覚えたらしい◆歌人のように、乗り合わせた客の目を見ていちいち心中を推察するわけにもいかないが、しばらくは電車に乗るたび事件のことを思い起こす気がする。東京の小田急線で8月に起きた無差別切り付け事件の恐怖がさめやらぬうちに、今度は京王線である◆24歳の男が車内に居合わせた70代の男性を刃物で刺し、オイルをまいて火を放ったという。乗客が窓から脱出する映像に戦慄(せんりつ)が走った。停車してすぐにドアは開かなかったと聞く。またどこぞでとは考えたくないが、鉄道会社には検証、点検を願いたい◆男は犯行後、映画の悪役にでもなったつもりか、座席に足を組んで座り、たばこを吹かしていた。どんなわけがあって世をすねているのかは知らないが、ゆがんだ自尊心で他人を傷つける非道を心の底から憎む◆甘ったれるんじゃない。2021・11・2

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