正平調

時計2021/11/04

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武井照子さんは1925(大正14)年の生まれだ。NHKラジオのアナウンサーとして終戦を迎え、戦後は幼児向け番組の制作にかかわっている◆夫が亡くなったとき、番組づくりで知り合った詩人まど・みちおさんへ喪中はがきを送った。すると実に丁寧な返事が届いた。「胸がいたくなりました」で始まる文面を、著書「あの日を刻むマイク」から◆「ご自分を、大事に、大事に、なさいますように! それを一ばん、お喜びになるのがダンナさまでしょうから。おハガキに添え書きくださった『淋(さび)しくなってしまいました』を見ているうちに、涙で見えなくなりました」。なんて優しい返信だろう◆年賀はがきの販売が始まった。もうそんな時季かと気ぜわしく思いながら、年始のあいさつでなく、喪の知らせのことを考える。そのうち郵便受けにぽつりぽつりと届く◆まどさんのように丁重な返事を出したことはないが、亡くなるまでの様子が少しでも書かれていたら、表情や声を思い出してしんみりとする。夢や希望を語る年賀はがきと違い、喪中の便りには人生が詰まる◆作家重松清さんは、喪中の知らせをいただくと、こう思うそうだ。「晩秋の季節感もあいまって胸にホロ苦く染みる」。今年も胸に染みる季節が近づく。2021・11・4

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