正平調

時計2021/11/08

  • 印刷

正装の若者が牛車を降りようとしている。降りしきる雪が黒い装束に映る。物憂げな表情はすぐ後に起きる悲劇を予感しているようだ-。兵庫県福崎町出身の日本画家、松岡映丘(えいきゅう)の名作「右大臣実朝」を10年前に姫路で見た。その印象は今も薄れない◆映丘は8人兄弟の末っ子で、兄に民俗学者柳田国男や国文学者井上通泰らがいる。幼い頃から武者絵を見たり描いたりして、14歳の頃に橋本雅邦(がほう)の弟子になる。狩野派に連なり、横山大観らを育てた重鎮である◆ところが2年ほどで雅邦の門を離れ、大和絵の山名貫義(つらよし)に弟子入りする。武者絵を描くためだ。貫義は大家ではあったが、いにしえの美を写す画風は、はやらなかった◆映丘は時流を顧みない。武家や貴族の礼式や装束の研究に没頭し、新興大和絵という一派をなした。東京美術学校教授も務め、「斜陽の名門」は有能な弟子であふれた◆好きな道を究める。映丘の生涯はその信念に貫かれている。兄弟は似ているのか、柳田国男もエリート官僚になりながらコースをはみ出して、日本民俗学の道を開いた◆今年は映丘の生誕140年の節目だ。28日まで、福崎町立柳田国男・松岡家記念館で本画と下絵を並べる展覧会が開かれている。制作過程の一端に触れることができる。2021・11・8

正平調の最新
もっと見る
 

天気(1月28日)

  • 10℃
  • 4℃
  • 10%

  • 6℃
  • 0℃
  • 50%

  • 11℃
  • 3℃
  • 10%

  • 9℃
  • 2℃
  • 30%

お知らせ