正平調

時計2021/11/14

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禅昌寺は神戸市須磨区の市街地から少し北へ行ったところにある。紅葉の美しさで知られる境内に句碑が建つ。〈本尊は釈迦(しゃか)か阿弥陀か紅葉かな〉。江戸時代の俳人、滝瓢水(ひょうすい)の句だ◆訪れたとき、参道を覆うような紅葉に足が止まったのか。見上げるうち、思わず手を合わせたのか。それにしても、なんと自由で、しなやかで、なんてやさしい気持ちだろうと、句碑を前に想像が膨らんでしまう◆瓢水は今の加古川市に生まれた。裕福な家で、俳諧の道へ。亡き母に孝行できなかったと悔いた句が〈さればとて石にふとんも着せられず〉。石とは墓のこと。型にとらわれない発想は紅葉の句にもつながる◆禅昌寺の紅葉は、今月下旬から来月上旬にかけてが見ごろという。瓢水の気分を味わえるのはまだ少し先だが、県内ではうっとりする光景があちこちで。その模様を届ける本紙「彩前線」シリーズの写真に見入る◆夏は緑、秋は赤。紅葉は忙しい。吉野弘さんは「紅葉」という詩で、落ち葉になって地面を埋めても、担うものがあると表した。それは〈赤い絨緞(じゅうたん)を敷きつめたような〉という〈比喩の集中に耐えること〉と◆でも、そんな比喩を書きたくなる。感染予防でこもりがちの方もちょっと一息つこう。赤い絨緞は、間もなく。2021・11・14

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