正平調

時計2021/11/16

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北海道・石狩地方のビジネスホテルで、郷土料理の店案内を請うた。係の人いわく「アキアジならここですね」。ドイツ文学者の池内紀(おさむ)さんがサケざんまいにひたった旅の思い出を随筆につづっている(「旅の食卓」亜紀書房)◆産卵のために川へ戻ってくるサケを当地では「秋味」と呼ぶが、楽しみ方はいろいろ。みそ仕立ての石狩鍋、塩焼き、骨せんべい、「めふん」といわれる塩辛、イクラ…などなど、とてもここには書き切れない◆その秋サケの定置網漁がひどい不漁だという。気候変動による海水温の上昇が要因の一つとされ、これもそのためか、赤潮が原因とみられるサケの大量死も伝えられた◆異変が続けば、いずれ日本近海の天然コンブが消える、との予測もある。マグロやサンマ漁も危うい。各国がこのほど合意に達した温暖化対策への努力は、それぞれの食文化を守っていくための努力でもあろう◆中勘助の詩「塩鮭」より。〈ああこよひ我は富みたり/五勺(しゃく)の酒あり/塩鮭は皿のうへに高き薫りをあげ…〉。病に苦しみ、一切れのサケも食べられなかった昔のことを思いだせば泣けてくる、と詩は結ばれる◆いま、温暖化という重い病に地球が苦しんでいる。「富みたり」の海を取り戻すために一刻の猶予もない。2021・11・16

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