正平調

時計2021/11/18

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たまたま、ということが人生には間々ある。神さまがシナリオを書いたのかと思いたくなるような、たまたまも◆中学時代、公園で野球の試合をしていた王貞治さんは、犬と散歩中の男性から声をかけられた。左利きなのに、なぜ右で打つのかと。「左で打ってごらん」。直後の初球、強いライナーが右中間を破った。男性は後に師と仰ぐ荒川博さん◆夏休み中の大学生が、母校の高校野球部を訪れた。ノックでもしてやるかと。ついでに併殺プレーの手本をしてみせるのを居合わせた人が目にした。社会人野球の監督という男性は名刺を渡し、うちに来ないか。後にプロ野球の監督となった濃人渉(のうにんわたる)さんだ◆それぞれのエピソードは王さんや近藤唯之さんの本から。濃人さんの眼力はさすがである。大学生は中退し、社会人野球からプロ野球広島へ。黄金時代を築いた知将、古葉竹識(たけし)さんである。85歳で亡くなった◆穏やかそうで、その実、厳しい人だった。「耐えて勝つ」「ピンチのときこそ強気で攻めろ」。ときに鬼のような形相で若手を鍛えた。昨日の新聞各紙には「古葉さんのおかげで」という教え子の言葉がいくつも◆プロ球界で出会ったのが、たまたま古葉さんだった。歩んだ道の数だけ物語があっただろうと思ってしまう。2021・11・18

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