正平調

時計2021/12/18

  • 印刷

「27人が心肺停止」だという速報に息をのんだ。大阪の8階建てビルで起きた火災である。火は30分ほどで消し止められたが、火元とされる4階では多くの人が逃げ場を失ったらしい◆伝えられる言葉を順に拾っていく。「オレンジ色の炎」「煙」「助けて」「はしご車」「割れた窓ガラス」「ストレッチャー」「心臓マッサージ」…。こうして一つ一つを書きとめていくだけで胸が苦しくなる◆現場はJR大阪駅からも遠くないビルだった。見知った光景がテレビ画面に映る。「まさか」の不安にかられ、家族の携帯電話を鳴らした人もあるだろう。祈る思いで返信を待っている人が今もいるはずである◆「近き火などに逃ぐる人は、『しばし』とや言ふ」。兼好法師は「徒然草」に書いた。火事から逃げるとき「ちょっと待って」とちゅうちょする人はいない、と。現代のビルはしかし、あまりに逃げ道が少ない◆あるいは、火の回りが早すぎて逃げられなかったのかもしれない。放火の疑いも出ている。なぜだ。分からない。その日時、その場所にたまたま居合わせただけで突然、人生が断ち切られる理由がどこにあろう◆「死亡」。その数が増えていく。なぜだ。分からない。もうすぐクリスマスというのに。お正月というのに。2021・12・18

正平調の最新
もっと見る
 

天気(5月22日)

  • 26℃
  • ---℃
  • 20%

  • 28℃
  • ---℃
  • 20%

  • 26℃
  • ---℃
  • 10%

  • 29℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ