正平調

時計2022/04/17

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詩人の長田(おさだ)弘さんによれば「街というのは、しばしば直線の風景をつくりだすことしかしない」。そびえるビル、整備された区画や道路…なるほど、都会の景色はおよそ直線で描ける◆直線でなく柔らかな曲線から成るのがわがふるさとだと、福島市の自然豊かな土地で育った長田さんは書いていた。「丘といい、川といい、それがつくりだすのは曲線の風景だ」と(「小道の収集」、講談社)◆丘や川だけではあるまい。いくつもの曲線が織りなすふるさとの美景には、棚田もある。農林水産省が選定した「棚田遺産」の話を本紙で読んだ。兵庫県からは多可町の岩座神(いさりがみ)地区など7カ所が選ばれたという◆記事にある写真に目をやれば、階段状に並ぶ田んぼはどれ一つとして同じ形をしておらず、あぜは弓のような弧を描く。今ごろはきっと春らんまんの景観だろう。遠くに見えるなだらかな山の稜線(りょうせん)も空に映える◆短歌誌で知った一首がある。〈美しき棚田に思ふ限りなき汗と叡智(えいち)の日本の文化ぞ〉(秋葉四郎)。耕作の担い手が減りゆくなか、どの棚田も地域住民らの「汗と叡智」で守られていることを忘れてはならない◆直線しかない平板な眺めより、曲線あり、でこぼこありの風景にこそ味わいを覚える。それは人生にも似て。2022・4・17

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