正平調

時計2022/04/26

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そこはアイヌ語で「シ●・エト▲」と呼ばれる。大地の突き出たところ大地の果てるところ、という意味がある。オホーツク海に長く伸びる知床半島だ◆アイヌの人々は山や海の生きもの、滝や岩礁など身のまわりの自然や事象には「カムイ(精霊)」が宿ると考え、敬った。そのカムイを巡る観光船ツアーで悲しい事故が起きた◆乗員と乗客26人を乗せた船が消息を絶って、連日懸命の捜索が続く。海上を漂う乗客が次々見つかったものの、今のところ生存者は確認されていない◆観光船の船長は昨年、船長に就いたばかり、甲板員は今年から働き始めたという。その2人が、同業者の「(出港を)やめた方がいい」の助言に背を向け、漁船も出漁を見送る荒海に船を出したのは、なぜ◆乗客の中に東京から両親と訪れた3歳の女の子がいた。ほかに息子のプレゼント旅行に出掛けた夫婦、九州からやってきた70代のゴルフ仲間、そして結婚を約束した恋人たち。知床までは楽しい思い出がいっぱいだっただろう。それが◆北海道の詩人で郷土史家、更科源蔵さんの文章で悲しみをうたうアイヌの詩を知る。「風になりたや/鳥になりたや/風にでも鳥にでもなって/あなたに逢(あ)いに行きたい」。乗客の家族は港に駆けつけ、海に祈る。2022・4・26

※●は「リ」の小文字、▲は「ク」の小文字

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