正平調

時計2022/05/28

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「人間とは何か。問いの答えは出ましたか」。本紙の金慶順記者が丹波篠山市の自宅で尋ねると、こんな答えが返ってきた。「なかなか出ませんな」。その表情は、仙人のようにも、少年のようにも見えたという◆世界的な霊長類学者、河合雅雄さんのことだ。2年前の戦後75年には「ラストメッセージ」というインタビュー企画にも快く応じてくれた。すでに体調は思わしくなく、薄氷を踏むような取材だった。そして原稿は仕上がらなかった◆河合さんが97歳で亡くなったのは昨年5月。「市民葬を」という声を新型コロナが阻み、葬送は簡素になった。これでは感謝を伝え切れない-。ゆかりの人たちが動き、地元のホールできょう、一周忌に合わせた偲(しの)ぶ会が催される。これほど慕われ、頼られた人はそういない◆「丹波の山猿」を自認し、自然と人と学問を愛した。大きな山脈のような功績は今も私たちの財産になっている◆金記者は最後に尋ねている。「どうして戦争はなくならないのでしょう」。「人間の本質というのはな-」と言いかけて言葉は途切れ、次の機会は訪れなかった◆大きな問いに、大きな好奇心で挑んだ人だった。探求する心を抱き続けた少年のような笑顔が、きょう集う人たちに降り注ぐに違いない。2022・5・28

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