正平調

時計2022/06/17

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「私は心配する」。詩人の杉山平一さんがそう書いたのは、もう30年以上前のことだ。何を心配するのか。「中流意識にかげりが出はじめたという報道」である◆「国民は、食えなくなったとき、戦争もイデオロギーも何のその、食える方へ、雪崩(なだ)れうって向かうからである」。大正に生まれ、従軍も空襲も経験しながら終戦までの道筋を見つめた詩人は憂えた◆多くの人が「中流」と感じた時代は今や遠い。格差を切実に訴える論文「31歳フリーター。希望は、戦争。」が議論を起こしたこともあったのに、雇用不安と貧困に苦しむ層は年々、厚みを増すばかりだ◆暮らしを整え、ささくれがちな心を落ち着けたい。そこそこ食べられて将来を見通せて、子どもたちが望む教育を受けられる。そのためにどんな処方箋があるのか、聞きたい。公示を迎える参院選に向け願う◆だが永田町から聞こえる声は物価高対策に触れながら、気付くと「国を守る」といった勇ましいものに変わっている。食料も資源も、「安全保障」でくくられる。ほかに言いようはないのか◆杉山さんの詩「思想」を引く。〈いくら眼鏡をぬぐっても/よく見えない〉〈くもっているのは/目の方だった〉。どうか、目のくもりも何のその、と突き進まぬように。2022・6・17

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