社説

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 政府、与党が今国会での成立を目指す安全保障関連法案について、全国の地方議会から「待った」の声が相次いで上がっている。

 国立国会図書館によると、6月末までに延べ約250件の意見書が地方議会から衆参両院に提出された。約6割が法案に反対し、4割弱が「慎重審議」を求めている。政府案を支持し、今国会での成立を求める意見書はほんの一握りだ。

 安倍政権が進める安保法制の大転換には、多くの国民が不安を抱いている。安倍晋三首相は「国民の理解は深まった」と述べたが、政府の説明は不十分で、とても理解を得たとは言えない。

 市町村を中心とした地方議会の動きを、津々浦々に広がる懸念の証しと謙虚に受け止めるべきである。

 政府、与党は今週中に法案の衆院通過を目指しているが、強行すれば民意との隔たりはますます大きくなる。ただでさえ政府の国会答弁は迷走しており、法案の問題点を整理して議論をやり直すのが筋だ。

 兵庫県内では、新温泉町議会が「廃案」を求める意見書を、尼崎、加西、豊岡市の議会が「慎重な審議」を求める意見書を可決した。政権与党の自民系と公明党の議員が賛成に回ったケースもあった。

 全会一致で慎重審議の意見書を可決した豊岡市議会の升田勝義議長は「国民が理解、合意できるようにしてほしいとの思いは全議員が賛同できた」と語っている。

 地方自治体も、安保政策と決して無関係ではない。現行の安保法制でも、日本に対する武力攻撃が発生した場合などに、自衛隊や米軍の行動を円滑にするため、自治体が管理する港湾や飛行場などの優先利用を求められる可能性がある。

 さらに今回の法案は、集団的自衛権行使の前提となる「存立危機事態」の際に地方自治体が担う「責務」を定めるとされている。地方の関与の在り方を含め、まだまだ不明な点が山ほどあるのが実情だ。

 法案の審議時間は100時間に上るが、重要なのは時間より議論の中身である。多くの疑問点を積み残したままの採決は許されない。

 自民党議員による報道圧力発言が発覚するなど、異論を封じる政権の体質に対する批判が高まっている。政府、与党はそうした世論とも向き合い、姿勢を改めるべきだ。

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