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 女性の再婚禁止期間を6カ月(約180日)から100日に短縮する改正民法が先の通常国会で成立した。離婚時に妊娠していないと医師が証明すれば、100日たたなくても再婚が認められる。

 一歩前進ではあるが、女性だけの再婚制限は残る。時代に合わなくなった法の規定が、幸せになろうとする権利を邪魔することがあってはならない。抜本的な制度改革に向けた議論をさらに進めるべきだ。

 なぜ女性だけが再婚を制限されるのか。民法には、離婚から300日以内に生まれた子は前夫の子、結婚(再婚)から200日経過後は現夫の子とする「嫡出推定」がある。この期間が重なると父親が誰かという争いが起きるため、一定の再婚禁止期間が必要だと考えられてきた。

 だが、法律で禁止期間を定める国は世界でも珍しい。国連の女性差別撤廃委員会は、規定自体が差別的だとして日本政府に完全廃止を勧告している。法制審議会は1996年、再婚禁止期間の短縮を盛り込んだ法改正案を答申したが、保守系議員の反発などから実現しなかった。

 ようやく国会が動いたのは昨年12月、最高裁が出した判決がきっかけだ。再婚禁止規定は「理由のない差別」とする岡山県の女性の訴えを受けて、最高裁は「結婚の自由に対する合理性を欠いた過剰な制約だ」として100日を超える禁止期間は憲法違反、とする判断を示した。

 嫡出推定の重複を避けるには、300日から200日を引いた100日あればいい、離婚時に妊娠していないのが明らかなら嫡出推定そのものが必要ない-。ごく当たり前の司法判断と法改正にたどり着くまで、ずいぶん長くかかったものだ。

 違憲判決後、法務省が離婚後100日を過ぎていれば婚姻届を受け付けるよう法改正に先立って全国の市区町村に通知したところ、4月までに700件余りが受理された。違憲の規定に縛られていた女性たちが少なくないことが分かる。

 嫡出推定についても撤廃を求める声がある。母親がさまざまな事情から前夫の子となるのを避けるため出生届を出さない「無戸籍児」の要因になるためだ。民法ができた明治時代ならまだしも、DNA鑑定で親子関係の特定が可能な時代に必要なルールなのか。改正民法の3年後の見直しに向け、議論を深めたい。

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