社説

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 兵庫県が総額3兆2061億円の2017年度当初予算案を発表した。井戸敏三知事は「地域創生、本格化予算」と語った。地域創生元年予算とした、16年度を引き継ぐものとの位置付けだ。

 項目を並べれば、多くはこれまでの取り組みの延長だ。大阪府のように、国際博覧会やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致など起爆剤となるような仕掛けや話題を呼ぶような施策はない。

 とはいえ、従来の施策を整理し、まとめ直すことで全体の意義付けがより明確になった印象がある。そこに、人口減少という待ったなしの課題への危機感がにじむ。

 実際、状況は深刻だ。15年の住民基本台帳人口移動報告で兵庫県は全国ワースト2位の減少だった。16年も6760人と減少数が少し改善されたものの、地震の影響で転出が増えた熊本に次ぐ3位となった。

 いかにして兵庫の人口減少傾向に歯止めをかけるか。

 まずはこれまで取り組んできた施策を確実に推し進める必要がある。婚活、不妊治療、子育て支援。奨学金の補助と兵庫への就職情報の提供。高齢者、障害者が暮らしやすい環境を整え、空き家を再活用し地域社会の活性化に結びつける。

 企業の兵庫進出をサポートし、農業・漁業・林業対策で地域の魅力アップを図る。観光客を呼び込み交流人口を増やす。

 政府の「地方創生」のかけ声は小さくなり、「1億総活躍」や「女性活躍」へと変わりつつある。東京五輪開催の影響で、首都圏へと人が流れる傾向は強まる一途だ。

 若者が進学や就職で移り住み、首都圏に住む子ども世代を頼って地方を離れる高齢者も増え始めた。

 兵庫県内に目を向ければ、各市町は高齢化に伴う住民サービスの支出が膨らみ、財政の余力が乏しい。一方、中山間地域では、消滅するかどうかの瀬戸際の集落がある。

 県の役割は増すばかりだ。ここ数年が未来への分かれ目になるとの覚悟が求められる。

 状況を好転させるためには国への働き掛けはもちろん、現場を抱える市町との緊密な連携が不可欠だ。地域にこそ、苦境を打開するヒントがある。自治の力を高め合い、ともに厳しい現状を乗り越える。そんな姿勢が欠かせない。

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