社説

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 放送界の第三者機関、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会がテレビの選挙報道について意見書を公表した。

 出演者数や露出時間などの量的公平性ではなく、「質」で選挙報道の公平性を保つべきだ-。異例の意見書には「政治的公平性」を盾にした政府による放送局への圧力ともいえる動きをけん制し、報道の自由を擁護しようとの意図がにじんでいる。放送界の現状に対する危機意識として重く受け止めたい。

 検証委が個別の番組ではなく、選挙報道全般について考えを示すのは初めてだ。昨年の参院選と東京都知事選の報道に対し、「一部の候補者のみを取り上げ、公平でない」などの意見が寄せられたことから議論していた。検証委は、取り上げ方は質的な公平性を考慮した上で各局が自由に決めるものだとし、「放送倫理違反はない」と結論づけた。極めて常識的な判断といえる。

 一方で現在の報道姿勢について「真の争点に焦点を合わせ、主張の違いとその評価を浮き彫りにする挑戦的な番組が目立たないことは残念だ」と注文をつけた。

 政府などからの監視の動きが目立つ中で、放送現場が萎縮していないか。意見書には、放送局に奮起を促す狙いもあるようだ。

 自民党は2014年衆院選で、在京各局に選挙報道について「公平中立、公正の確保」を求める文書を送付した。15年にはやらせ問題など番組内容を巡りNHKとテレビ朝日の幹部から事情聴取した。

 さらに昨年2月、高市早苗総務相は、放送法の定める「政治的公平」への違反を繰り返した放送局に、電波停止を命じる可能性に言及した。

 BPO検証委は15年、NHK幹部への事情聴取を「政権党による圧力そのもの」と批判した。その後も収まらない政治からの攻勢に対する憂慮が意見書の背景にある。

 検証委は選挙報道や評論に求められる「公平性」は発言回数などの平等ではないとした上で、機械的・形式的な平等を追求することは「編集の自由を放送局が自ら放棄するに等しい」と批判した。

 川端和治委員長は「放送をしなければ批判も受けないと考えるようになれば困るのは視聴者だ」と局側に苦言を呈した。放送の自主・自律の大切さを改めて肝に銘じたい。

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