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 「市民が安心して暮らすために、地味ではあるが、身の回りの住環境を整備する必要がある」

 神戸市の2017年度予算案について、久元喜造市長は力を込めた。総額1兆8097億円のうち、幅広く市民生活を支える一般会計は7812億円。財政改善の積み重ねで捻出した投資的経費を、市民の暮らしと人口減対策に積極的に投じる。

 こうした取り組みは周辺の自治体に共通する。妊娠や子育て、教育、さらに就職や起業への支援を手厚くする。病気の予防や発病した際のサポート、高齢者や障害のある人たちへの配慮と生活支援、所得が減ったときの生活の下支えなどについて、行政が競い合う。

 かつては施設など「箱もの」の整備に多額の予算を投じ合った時代もあったが、税収が頭打ちとなった今は違う。人口の自然増、社会増、さらに交流人口の増加に向け、住民サービスの向上と魅力ある地域づくりという地道な仕事ぶりが問われる。

 厳しい現実を前に、市町の原点への回帰が一層進んだといえる。

 例えば、神戸市教育委員会の施策の中に教員の多忙化対策の推進が盛り込まれた。弾力的な教員の配置によって児童生徒と向き合う時間を増やし、激務とされる教頭職に補佐役スタッフを付けることで学校の組織力向上を目指す。

 「連合総研」の調査では、労働時間が週に60時間を超える教員の割合が小学校で72・9%、中学校では86・9%に上る。余裕のない教育現場への対応は全国に共通する長年の課題だ。改善には細やかな対応が欠かせない。一過性でなく、長期的な視点に立った対策が求められる。

 一方、久元市長の選挙公約にもあったバス高速輸送システム(BRT)の社会実験が始まる。専用レーンなどを設けて車両を連結したバスを運行し、再整備を進める三宮周辺の利便性向上へとつなげる。

 高齢化社会対策としても公共交通機関の整備は重要だ。市街地への車の乗り入れ規制につながれば、高齢者や子ども、障害のある人が安全に街中を移動できるようになる。もちろん、環境にもやさしい。

 身近な住環境の整備は確実に都市の魅力アップに結びつく。市民生活に投資するという発想が人を呼び込む時代である。じっくりと取り組んでもらいたい。

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