社説

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 近畿圏の企業経営者らが経済や社会の課題を議論する関西財界セミナーがこのほど、京都市内で開かれた。今年のテーマは「温故創新-総力でつくる未来」。経済界を挙げて新しい未来をつくるとの決意を込めたという。

 「自国第一主義」を声高に掲げる米トランプ政権の誕生や英国の欧州連合(EU)離脱決定などで世界経済の先行きの不透明感はかつてないほど強まっている。そうした中、企業は社会的存在であるとの観点から、足元の課題解決に主体的に取り組むべきとの認識で一致した。

 注目したいのは、子どもの貧困を初めて取り上げたことである。昨年は若者が活躍できる政策について話し合った。今回はそれに続いて次世代の育成や支援を論議した。

 海外で保護主義的な動きが台頭する背景には、グローバル化に伴う格差拡大の問題がある。日本でも18歳未満の6人に1人が貧困状態にあるとされ、格差の拡大や固定化が指摘されている。

 成長を実現するには適切な所得の分配が欠かせない。現状を放置すれば経済の停滞や人材難を招き、社会的な損失は計り知れない。セミナーでは「対岸の火事ではない」との危機感が経済界に広がっていることがうかがえた。

 参加者からは、3歳から高校までの義務教育化、学校での朝給食の導入、貧困家庭の親世代への支援などが提案された。一方で「企業単独で取り組むには限界がある」との意見があり、温度差も感じられる。

 今回の議論を契機に、経済界が行政やNPOと連携して持続的に貧困問題に関わることを期待したい。そのためには経済団体がけん引役となり、まずは地域の実態把握から始める必要がある。

 世界経済は大きな転換期を迎えるが、企業が必要以上に萎縮する必要はない。セミナーではスポーツ産業を活性化させることも確認した。

 神戸をはじめ関西にはスポーツ用品メーカーや健康・医療関連の企業が集積している。ラグビーワールドカップや東京五輪・パラリンピックなど世界的なスポーツイベントの国内開催を控えるこの時期を、関連産業を伸ばす好機としたい。

 関西経済界は危機感を共有し、チャンスに変えるため、具体的な行動に移してほしい。

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