社説

  • 印刷

 総務省が今春をめどに、ふるさと納税制度の見直しを進めている。ポイントは寄付を受けた自治体が贈る返礼品で、高市早苗総務相は不適切な例が見られるとして、会見で制度の趣旨の徹底を訴えた。

 返礼品については昨年4月にも、換金しやすい商品券や家電製品などは望ましくないとして、文書で自粛を要請している。高額化で住民サービスにかけるお金が減っている点も指摘される。総務省は今回の見直しで、返礼品の種類や金額について一定の歯止めをかけるとみられる。

 確かに制度はひずみが目立ち、見直しや廃止を求める声が強まっている。いったん立ち止まって検証する必要がある。

 ふるさと納税は応援したい自治体などに寄付をし、取り組みを支援する仕組みとして2008年にスタートした。

 寄付の際の自己負担は2千円で、例えば3万円を寄付すれば、住民税などが2万8千円控除される仕組みだ。さらに寄付先の自治体から返礼品が届く。

 返礼品をめぐっては自治体間競争が過熱し、自治体運営の「ネット通販」ともやゆされる。過熱競争から降りることは税収の減少を意味し、「自衛」のために付き合わざるを得ない側面もある。

 返礼することで特産物をPRすることができるという声がある。しかし税金で直接買い上げる以上の経済効果がなければ、「ばらまき」と批判されても仕方がない。

 一方、寄付をした人は2千円の実質負担で高額商品が手に入り、しかも換金できるとなればビジネスにつながる。地方税を多く納めている人ほど高額の寄付が可能で、富裕層が得をする仕組みもおかしい。

 運用上の問題点に加え、検証すべき課題は多い。税収が減った自治体の行政サービスに影響しないよう、国債や地方債が増発される。税金を奪い合った結果、社会全体の赤字が膨らむようでは何のための制度か分からない。

 ふるさと納税によって、税源移譲など地方の自立を目指す分権改革の論議が先送りされている面もある。

 東京圏への一極集中に歯止めがかからず、「地方創生」は掛け声倒れとなりつつある。原点に戻り、国と地方のあり方そのものを問い直すべきだろう。

社説の最新
もっと見る

天気(6月26日)

  • 27℃
  • ---℃
  • 10%

  • 26℃
  • ---℃
  • 10%

  • 29℃
  • ---℃
  • 10%

  • 29℃
  • ---℃
  • 10%

お知らせ