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 トランプ大統領の登場は米国社会の分断を象徴している。分断は修復されるどころか、政権発足でより深刻になっている印象だ。

 就任1カ月の節目となった20日は歴代大統領の功績をたたえる祝日「プレジデンツデー(大統領の日)」だった。ニューヨークなど全米25都市でトランプ氏に対する抗議デモが行われ、少なくとも1万人以上が参加したとみられる。

 人々が手にした「私の大統領ではない」と書かれたプラカードが反トランプ感情の根深さを示している。大きな要因がトランプ氏の政治姿勢にあることは間違いない。

 最たるものが十分な議論を経ずに連発した大統領令だ。イスラム圏7カ国からの入国禁止は空港などで混乱を招き、効力を停止した裁判所と対立する事態になった。

 一方、安倍晋三首相との会談では厳しい要求がなく、日米関係は順調に滑りだしたかに見える。だが「米国第一」を掲げるトランプ氏の意を受けた米側が通商協議で注文を突き付けてくる可能性はある。今後の出方を見極める必要がある。

 トランプ氏を押し上げたのは「ポピュリズム(大衆迎合政治)」とされる。経済のグローバル化に伴う格差拡大などで苦境に立つ人々の「怒り」が追い風になった。

 支持層の中心は、かつての製造業地帯などに住む中高年の白人労働者層とされる。雇用創出を最優先課題とする方針は、その期待に応えようとする姿勢の表れといえる。

 ただ、「自国中心」の主張は移民、難民の排斥につながり、差別をあおる恐れがある。実際、人種や宗教などを理由にした嫌がらせの続発が全米各地で報告されている。

 気がかりなのは、トランプ氏が過激な言動を改めないことだ。気に入らなければ野党でも判事でも攻撃する。イスラム圏からの入国規制についても、治安維持を理由に新たな大統領令に意欲を示す。

 しかし、トランプ氏を支持する人は世論調査で4割前後にとどまり、不支持は5割を超える。政権基盤を安定させるには、批判よりも対話の努力が欠かせない。

 米国の混乱や迷走は日本をはじめ全世界に影響を及ぼす。この1カ月を真摯(しんし)に振り返り、「全ての国民の大統領になる」と誓った言葉の実現を本気で考えるべきである。

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