社説

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 文部科学省の天下り問題で、松野博一文科相が全容解明調査の中間報告を公表した。

 違法な天下りあっせんの件数は増える一途で、人事課で隠蔽(いんぺい)工作が「業務」として引き継がれていたことも分かった。さらに大学設置審査の情報漏えいまで加わり、「闇」はあまりにも深い。

 中間報告によると、違法なあっせんは再就職等監視委員会が指摘した10件に加え、新たに17件が確認された。青森大、岐阜大、新潟科学技術学園など地方の大学も多く含まれ、兵庫県内では甲子園学院の事務局長人事であっせんがあった。

 一方、隠蔽工作は「マニュアル」として引き継がれ、遅くとも2010年7月ごろには存在した。監視委員会の調査を意識した内容で、「某氏と相談しながら再就職先の案を確定」などと書かれていた。

 「某氏」は、国会で参考人としてあっせんのシステムを証言した人事課OBの嶋貫和男氏とみられる。調査などで問われた場合には「嶋貫氏ではない誰かとする」などの指示も確認された。人事課が違法性を認識していたことは明らかだ。

 さらに嶋貫氏を学長予定者として、大学の設置認可を申請した滋慶学園の審査を巡り、文科省幹部が審議会の内部情報を人事課職員に漏らしていたことが判明した。

 文科相も会見で「再就職等規制違反に組織的に関与していたことが裏付けられた。順法意識が欠けていた」と述べているが、深刻な事態と言うしかない。

 昨日になって、国会で「万死に値する」と陳謝していた前川喜平前事務次官に退職金が支払われていたことが明らかになった。自己都合退職扱いなら、金額は5610万円に上る。前川氏については、中間報告にも違法行為への関わりと処分を求める意見が記されている。国民には到底、理解できない対応だ。

 官僚の天下りは官製談合などで、過去に何度も批判を浴びてきた。このため07年の法改正で規制が強化されたが、文科省は直後から、規制の抜け穴となる仕組みづくりと隠蔽工作を重ねていたことになる。

 天下りは官民の癒着を生む。補助金交付や許認可に影響はなかったか。これでは教育行政全般に不信の目を向けられかねない。抜本的な組織の改革が求められる。

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