社説

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 天皇陛下の退位を巡り、衆参両院の正副議長が各党派からの意見聴取を実施した。

 与党が「陛下一代限り」の特別法が望ましいとするのに対し、民進党などは皇室典範改正による恒久制度化を主張し、隔たりは大きい。

 正副議長は3月中旬ごろ、国会の見解をまとめる見通しという。天皇の地位は「国民の総意に基づく」と憲法は定める。幅広い理解が得られるよう議論を深め、合意形成を図ってもらいたい。

 速やかに制定できる特別法を目指す自民、公明両党は「将来にわたる退位の要件設定は困難」とする。天皇の意思を要件にする制度化は政治関与の権能を与えることになり、違憲の疑いがあるとも指摘する。

 陛下は昨年末に83歳になられ、迅速な対応が必要であることは多くの国民が感じていることだろう。

 先月末の共同通信社の世論調査では、退位を巡る法整備に関して、一代限定の特別法への支持は約27%だったのに対し、恒久制度化するための皇室典範改正への支持が63%もあった。将来にわたる対応を求める声が多数なのが現状である。

 恒久制度化を求める民進党は、皇位継承は皇室典範によると定める憲法との整合性から特別法には疑義があると指摘する。共産、自由、社民などの野党も典範改正を訴える。

 皇族の減少や高齢化が進む状況も考えれば、将来を見据えた議論が必要なことは確かだろう。

 与党と民進党などとの溝は深いが、自民党は民進党との合意形成に向け、皇室典範に特別法の根拠規定を設ける案もあり得るとの意向をにじませる。将来の天皇の退位にも道を開く意味合いを強めた妥協案である。大島理森衆院議長も意見聴取の際、根拠規定を設ける案に言及し、有力な案とされているようだ。

 ただ特別法の根拠規定を皇室典範に置く際、法律の本体部分に当たる「本則」に書くのか、経過措置や暫定措置などを盛り込む「付則」に設けるかでは大きな違いがある。「退位」の文言を明記するかも含め、法的な効果や退位の位置付けに関わる問題だけに慎重な検討が必要だ。

 論点は多い。「退位を政争の具にすべきではない」との意見は一定理解できるが、早期決着を優先し、拙速に陥れば禍根を残す。国民に見える形でしっかりと議論してほしい。

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