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 沖縄県嘉手納町などにまたがる米軍嘉手納基地の周辺住民が、米軍機による騒音で健康を害されたとして、夜間・早朝の飛行差し止めや損害賠償などを国に求めた第3次嘉手納爆音訴訟の判決が言い渡された。

 那覇地裁沖縄支部は、2万2005人の原告住民に対する国の賠償責任を認め、自衛隊や米軍基地の騒音を巡る訴訟では過去最高となる総額約301億9800万円の支払いを命じた。

 原告の数も過去最大だったが、既に確定している第2次訴訟の約2倍の賠償水準を認めたことが総額を大きく膨らませた。

 1次提訴から35年、これまでに住民の一人一人が被ってきた健康被害を積み上げれば、金額が膨らむのは当然だ。過去最高の賠償水準は、司法が被害の大きさを認めたことの表れだろう。

 判決は「国民全体が利益を受ける一方、一部少数者に特別の犠牲が強いられていると言わざるを得ない」と述べている。その上で「米国と日本政府は抜本的な防止策を取らず、違法な被害が漫然と放置されている」と断じた。

 認定された健康被害は多岐にわたる。日常生活の精神的苦痛、睡眠妨害、高血圧症などの健康上のリスク増大…。被害を救済するには、一部でも夜間と早朝の飛行を差し止めることしかない。司法判断もそれを促している。

 一方で、原告の飛行差し止めの訴えは今回も退けられた。日本政府には第三者の米軍の行為を制約する権限はない。これまでの「第三者行為論」を踏襲した。

 判決の中で、解決に向けて動こうとしない政府の姿勢を厳しく批判しながら、司法自身も次の一歩を示そうとしない。では、静かな夜を取り戻したいと願う住民は一体、どうすればいいのだろうか。

 判決のたびに国の責任が指摘されるが、政治は動かない。「願いがかなうまで、声を上げ続ける。そうでないと『(現状を)認めた』『受け入れた』と言われかねない」。原告住民の言葉は重い。今度こそ国は真摯(しんし)に受け止めるべきだ。

 沖縄だけでなく厚木、岩国、横田など各地で、基地の騒音による健康被害救済を求める訴えが広がる。特別な犠牲を、違法な被害を強いられている住民を放置してはならない。

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