社説

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 南海トラフ巨大地震などの際、特に高層ビルに大きな影響を及ぼす、ゆっくり繰り返す長い揺れ「長周期地震動」の被害が懸念されている。

 気象庁はそうした揺れが大きいと予測される地域に緊急地震速報を伝えるシステムを構築する。2018年度以降の運用開始を目指す。

 タワーマンションなど高層ビルは増える一方だ。事前の情報があれば備えることができる。精度の高いシステムを目指すとともに、情報を生かす手だてを考える必要がある。

 小刻みに揺れる短い周期の場合は低い建物で被害が出る恐れがあるのに対し、ゆっくりとした長周期の地震動は高いビルほど影響を受けやすい。しかも遠い場所まで伝わり、長い時間揺れる。東日本大震災では震源から約770キロも離れた大阪府の咲洲(さきしま)庁舎(256メートル)で2・7メートルの揺れ幅を記録した。

 南海トラフ巨大地震を想定した内閣府の推計では、神戸市のポートアイランドや六甲アイランドで30階前後の建物の最上階で2~4メートルの揺れの可能性がある。

 国土交通省の調査によると、全国で16階建て以上の高層ビルが毎年約100棟のペースで建てられている。大きな揺れがあれば倒壊しなくても家具の転倒や横滑りで人命に関わる恐れもあり、対策は急務だ。

 現在、震度5弱以上が予測された場合、緊急地震速報を発表し、震度4以上の地域名を伝えているが、その対象外でも高層ビルが大きく揺れることはある。気象庁の検討会は、長周期地震動で被害の恐れがある地域にも注意を促す速報を流すべきとした。対象地域は震源から離れ、飛び地のようになることもある。

 気象庁は、長周期地震動の強さを4段階で表現しており、上から2番目の階級3(立っているのが困難)以上の揺れが予測される地域に速報を伝える。

 ただ長周期地震動による高層ビルの揺れ方は、立地している地盤やビルの構造によって異なる。検討会では、気象庁の予測情報を基本に、それぞれのビルの特性まで考慮した詳細な揺れの予測や、エレベーターやライフラインなどの機器の制御といった多様なニーズに対応した情報提供については、民間サービスで担うことが適当との意見が出ている。

 本格的な対策はこれからだ。被害軽減に向け、内容を充実させたい。

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