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 物流大手ヤマト運輸の労働組合が、今春闘で宅配便の荷受量の抑制を求めていることが明らかになった。労使交渉でドライバーの負担軽減に向けて協議するという。

 インターネット上で買い物をすれば翌日には自宅に商品が届く。そんな便利さの陰で、宅配などの運送業界では人手不足が深刻化し、過重労働が広がる。働き方を見直すには、企業や労働者だけでなく、消費者もどこまで利便性を求めるのか、問い直さねばならない。

 ヤマト運輸は宅配市場でのシェアが約5割を占め、2016年3月期の取り扱い個数は17億3千万個で過去最高だった。17年3月期はさらに上回るペースで増え、労組は18年3月期の宅配個数がこれを上回らない水準に抑えるよう要求する。

 会社側が労組の要求に応じれば、ネット通販などの大口顧客に対し、値上げなどを求めることが考えられる。夜間の時間帯指定の配達や不在の際の再配達などのサービスもドライバーに負担をかけるため、見直しの対象になる可能性がある。

 顧客重視を貫いてきた同社にとっては苦渋の選択だろう。労使で真摯(しんし)に話し合い、過剰なサービスの見直しなど打開策を探る必要がある。

 国土交通省によると、15年度の国内の宅配便の個数は前年度比3・6%増の約37億4千万個に上る。アマゾンや楽天など通販の利用拡大で、10年前に比べ3割近く増えた。しかも、受取人不在で再配達となるケースが約2割あるという。

 一方で、15年のトラック運転手は80万人と、高齢化などで前年に比べ3万人減った。物流業界は運転手不足で長時間労働が慢性化し、それがさらに人材確保を困難にするという悪循環に陥っている。

 国交省は15年度に再配達を減らすためコンビニや駅での受け取りや、荷物を一時保管できる宅配ボックスの普及などの対策をまとめた。

 都市部ではコンビニでの荷物の受け取りや、鉄道の駅への宅配専用ロッカーの設置が進む。宅配大手3社が首都圏の鉄道会社と組み、荷物を鉄道で運ぶ実験に乗りだした。地方ではヤマト運輸が岩手県や宮崎県などのバス会社と協力して、中山間地での荷物の輸送に取り組む。

 宅配便は生活に必要なインフラでもある。その維持のためにも、社会全体で知恵を絞りたい。

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