社説

  • 印刷

 国の2017年度予算案が衆院を通過し、憲法の規定で3月中の成立が確定した。2月中の通過は14年以来で、第1次内閣も含め安倍政権では最速だ。

 予算案は過去最大規模となったが、中身に関する論戦は活発だったか。結果的に与党が「数の力」を背景に押し切った形で、十分に議論が深まったとはいえない。

 衆院での論戦を振り返ると、当初は安倍晋三首相のペースだった。施政方針演説で「国会でプラカードを掲げても何も生まれない」と野党を批判し、旧民主党政権と比較して自画自賛する。一方の野党も反論に迫力を欠いた。

 だが途中から雲行きが変わった。

 文部科学省の天下り問題に加え、「テロ等準備罪」を新設する「共謀罪」法案をめぐる金田勝年法相の答弁が迷走し、審議がたびたびストップした。法案提出前の国会質問を封じる趣旨とも取れる法相の文書配布が発覚し、野党は辞任を求めた。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報の存在も明らかとなり、稲田朋美防衛相も答弁がしどろもどろで、資質が問われる展開となった。

 国有地が学校法人「森友学園」に格安で払い下げられた問題では、首相夫人が名誉校長だったことも分かった。野党の批判に、安倍首相は自らを含む関与を「職を懸けて」否定する事態に追い込まれた。

 攻勢に転じた野党は、引き続き参院でもこれらの問題を追及する方針だ。政府が誠実に答えなければ内閣支持率に影響する可能性がある。

 捜査権の乱用が懸念される「共謀罪」法案は今月半ばにも閣議決定される見通しだ。過去に3度廃案となった法案だけに、丁寧な質疑で疑問点を明らかにする必要がある。3月中に実行計画が取りまとめられる「働き方改革」も多くの労働者に関わる問題で、国民が納得できるよう議論を尽くすべきだ。

 春闘はこれから本番を迎える。アベノミクスによる景気浮揚の実感は広がらず、政府の要請にもかかわらず一部メガバンクでさえ2年連続でベアを見送らざるを得ない状況だ。

 国会論戦は参院に舞台を移し、第2幕を迎えた。国民生活の実情を見据えて論点を掘り下げ、課題の解決に知恵を絞る。そうした丁寧な議論を展開してもらいたい。

社説の最新
もっと見る

天気(6月26日)

  • 27℃
  • 22℃
  • 30%

  • 26℃
  • 18℃
  • 20%

  • 28℃
  • 20℃
  • 20%

  • 28℃
  • 21℃
  • 10%

お知らせ