社説

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 米国のトランプ大統領が上下両院の議員らを前に、就任後初の施政方針演説を行った。

 発足から1カ月が過ぎた政権の滑り出しは、トランプ氏が自画自賛するほど「順調」とは言い難い。イスラム圏7カ国からの入国禁止などの大統領令を連発して混乱を招き、効力を差し止めた裁判所と対立するなど、迷走状態が続いている。

 主要メディアの報道を「偽ニュース」と攻撃し、反対派への対決姿勢は激しさを増す。

 施政方針演説は、大統領が政権運営について語る場で、全米にテレビ中継される。それだけにトランプ氏の言動が注目されたが、この日は穏当な言葉遣いが目立った。

 米国では、予算編成権は議会にある。与党・共和党にも政権に批判的な声が聞かれ、多数の賛成を得られなければ政策実現は難しい。

 そのためだろう。「ささいなことで争う時は終わった」と融和を呼び掛け、看板施策とする約113兆円のインフラ投資に理解を求めた。ただ、協調路線が形だけなら前途は多難というしかない。

 演説でトランプ氏は「歴史」という言葉を使った。一つが法人税減税などの「歴史的な税制改革」で、もう一つが「米国の歴史上、最も大規模な国防費の増額」である。

 選挙中からたびたび巨額減税に言及し、「就任後100日以内に実現する公約」に掲げている。法人税だけでなく、中間層を対象とする所得税減税なども含むとする。「年4%」の経済成長と雇用拡大を目指す重要政策との位置付けだ。

 一方で米財政は借金が2千兆円を超え、慢性的な赤字体質だ。メキシコ国境の壁建設も「すぐに始める」と明言したが、財源をどう捻出するか具体的な説明はなかった。

 国防費については、既に現予算の1割に当たる約6兆円の増額方針を公表している。海軍艦船を3割増やすといった大胆な内容だ。

 トランプ政権は外交費や海外援助費などを削減して財源を生み出す方針という。だが一方的な軍備増強は軍拡競争につながる恐れがあり、かえって他国との緊張を高めかねないと、元米軍高官らも批判する。

 オバマ政権からの転換を急ぐあまり、政策の継続性やバランスを欠いては内外の理解は得られない。実現可能な道を冷静に模索すべきだ。

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