社説

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 大阪市の学校法人「森友学園」の国有地取得問題で、学園の籠池泰典理事長が国との交渉を巡って政治家に陳情していたことが明らかになった。多くの国民がやっぱりと思ったに違いない。

 土地の払い下げの経緯に加え、政府が売却額を当初不開示としていたこと、契約の締結直後に早々と資料を処分していたことなど、不自然な点が多すぎるからだ。

 安倍晋三首相はこれまで「政治家の不当な働き掛けはなかったと報告を受けている」と繰り返してきた。昨日も政府や自民党の内部調査に否定的な見解を示した。これでは疑惑は深まるばかりだ。

 政府、与党は関係省庁の調査を進め、籠池理事長らを国会に参考人招致し、真相解明に努めるべきだ。

 理事長が陳情したのは自民党の鴻池祥肇(よしただ)元防災担当相(参院兵庫選挙区)で、野党が国会質問で指摘したのを受け、本人が会見で認めた。

 2014年4月には理事長が議員会館を訪れ、現金が入っていた可能性がある紙包みを直接、手渡そうとしたという。理事長側は「お見舞いを兼ねて商品券を渡そうとした」と説明しているが、鴻池氏は「確かめていないが、一瞬で金と分かった。無礼者と言って投げ返した」と話している。

 さらに鴻池氏は学園側から20万円の献金を受けていたとして、返却することを明らかにした。

 国会質問で示された事務所の面談記録には、理事長の要請として「上からの政治力で早く結論を得られるようお願いしたい」などの記述がある。理事長が国との交渉で、鴻池氏の政治力を利用しようとしたとみるのが自然ではないか。

 鴻池氏は国への働き掛けは否定しているが、秘書らが国とやりとりを重ねた記述もある。理事長が同様の陳情を他の議員にしていたことも考えられる。財務省幹部も参院予算委で、政治家の接触について「そういう可能性はある」と認めている。

 不自然な国有地売買の裏に政治家が介在したのであれば、国民の政治不信は高まるだろう。曖昧な幕引きは許されない。

 この問題では首相の妻と学園の付き合いが取りざたされるせいか、首相の感情的な答弁が目に付く。冷静に対処し、国民の疑問に答えるために指導力を発揮してもらいたい。

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