社説

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 世界で多発するテロや紛争、広がる経済格差によって、多くの女性が貧困や暴力に苦しんでいる。

 国連は女性の権利保護と世界平和を目指し、3月8日を「国際女性デー」と定めた。しかし制定から40年余りが過ぎた今も実現への道筋は見えない。国際社会が協力して性差別のない社会へ前進したい。

 2030年までに1日1・25ドル未満で暮らす極度の貧困や飢餓を撲滅する。教育の保障や女性差別を撤廃する。そんな目標を掲げた「持続可能な開発目標」が、15年の国連サミットで採択された。

 だが、昨年の米国務省のテロに関する報告書によれば、15年の拉致や誘拐の被害者は約3割増え、約1万2千人に上った。過激派組織「イスラム国」(IS)が人身売買や性的搾取のために女性や子どもの拉致を繰り返したのが要因という。

 ナイジェリアではイスラム過激派が学校から多数の女子生徒を拉致し、大半は行方が分からない。インドでは結婚時に女性側の家族が多額の金品を貢ぐ慣習が根強く残る。

 世界の不安定化に伴い、女性への暴力や人権侵害は深刻さを増している。こうした現状を変えるには、女性が力をつけ、声を上げ続けねばならない。そのために教育が果たす役割は大きい。

 15年には15~24歳の識字率は9割に上がった。しかし、今も約7億人が読み書きができないと推定される。その6割以上は女性だ。すべての子どもが教育を受けられるよう、国際社会が途上国の教育環境の整備を後押ししたい。

 一方、先進国でも女性の権利の保護や男女間格差の解消は十分とは言えない。政治や経済活動で女性の参加は増えているものの、政策決定の場や採用、昇進、賃金などで男性優位の状況は変わっていない。

 特に日本は後れが目立つ。国会への女性進出は日本は193カ国中163位で、世界でも低水準だ。女性の管理職比率は低く、男女間の賃金格差も縮小していない。

 女性への暴力も後を絶たない。一昨年の家庭内暴力(DV)の被害は6万件を超え、最多を更新した。深刻な子どもの貧困は、母子家庭など女性の貧困の問題と重なる。

 根強い性差別的な制度や慣習を見直すために、日本でも一人一人が意識と行動を変えていきたい。

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