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 中国の2017年度(1~12月)予算案の国防費が初めて1兆元を突破し1兆443億元(約17兆2千億円)となった。

 前年度実績比7%増で2年連続1桁の伸びにとどまったが、17年の実質国内総生産(GDP)成長率目標(6・5%前後)を上回っており、高水準を保った。

 全国人民代表大会(全人代=国会)が開かれる中、習近平指導部による軍拡推進路線が改めて鮮明になったといえる。

 その額は日本の防衛費やロシアの17年度軍事費の3倍以上の規模になる。兵器の研究開発費や海外からの調達費は含まれていないとみられ、アジアの周辺諸国に「脅威」と映るのは当然だろう。

 習指導部は「中華民族の偉大な復興」をスローガンに掲げる。李克強首相は全人代の開幕にあたって、政府活動報告で、「国家の主権と安全を断固として守らなければならない」と述べた。「海洋強国」の建設を加速させるとも強調したという。

 巨額の国防予算は、東・南シナ海問題をめぐり対立するトランプ米新政権が、歴史的規模となる国防費の約10%増の方針を打ち出したのに対抗する狙いがあるのだろう。中国軍は米軍の動きもにらみながら、部隊の抜本的再編や新型兵器の開発を進めている。

 一方、南シナ海で中国と領有権を争うフィリピンも国防予算を大きく増やす方針だ。さらに核・ミサイル開発を急ぐ北朝鮮が弾道ミサイルを相次いで発射する中、日本の17年度予算案の防衛費は過去最高となった。アジア太平洋地域が軍拡競争に陥れば、日本の安全保障にも大きく影響する恐れがある。

 中国の王毅外相は会見で、習国家主席とトランプ大統領による初の首脳会談の早期実現を目指す方針を明らかにした。北朝鮮に加えて、大規模軍事演習を展開する米韓両国にも自制を求めた。地域の安定には中国の外交努力が欠かせない。日中の関係改善も重要課題だ。

 中国が米国とともに軍拡競争の「主役」を演じ続けることでアジア太平洋地域の緊張が一段と高まれば、一触即発の事態を招きかねない。

 世界がいま、中国に求めているのは、軍事力に頼らない「大国」にふさわしい振る舞いである。軍拡路線は再考すべきだ。

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