社説

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 関西広域連合が国に「防災庁」(仮称)創設を提案するため、報告書のたたき台を公表した。南海トラフ地震や首都直下型地震などの大規模な広域災害に、国家レベルで備える必要性を指摘したものだ。

 「防災庁(省)」の創設は、本紙が阪神・淡路大震災から20年になる2015年1月、兵庫発の経験と教訓を発信するためにまとめた「6つの提言」に含まれている。

 その後、井戸敏三兵庫県知事が、専門に防災施策を担う国の組織が必要として、防災庁を関西に設置するよう提言。関西広域連合で、調査・研究がスタートした。防災の研究者ら有識者を委員とする懇話会で、課題や方向性を整理してきた。

 なぜ、防災庁が必要なのか。

 国には現在、防災担当大臣が置かれているが、多くの省庁に分かれる災害対応は各大臣が所管し、一元的に調整できていない。災害の教訓を国全体で継承する仕組みが整っておらず、自治体の首長や職員の防災能力を高める育成機関もない。

 東日本大震災でも浮かび上がった現状を変える必要がある。

 たたき台は、首都圏が大きな被害を受けた場合、機能不全に陥る可能性があり、危機管理の面からバックアップ機能が不可欠とする。

 国の反応は冷ややかだ。東日本大震災後、関係副大臣会合で危機管理組織の在り方を検討した。最終報告は「中央省庁レベルでの抜本的な組織体制の見直しを行うべき積極的な必要性は、直ちには見いだしがたい」というものだ。

 だが、既存の組織で南海トラフ地震のような超巨大災害に的確に対応できるかは疑問である。

 関西には国の出先機関がそろっているだけでなく、三木市や堺市に広域的な防災拠点が整備されている。神戸には、人と防災未来センターや国際協力機構(JICA)国際防災研修センターなど、阪神・淡路の教訓を研究し、人材を育成する関係機関が集積している。NPOも多く、災害文化が根付いている。

 防災庁を置くことで各機関や団体が連携できる。東北にも拠点を設ければ復興が前に進むだろう。

 国の壁は厚いが、被災自治体とともに、粘り強く必要性を訴えたい。

 災害が起きてからでは遅い。私たち国民が大災害に遭うたびに、大きな犠牲を払って得た教訓である。

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