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 東日本大震災で、原発を取り巻く環境は一変した。

 福島第1原発は1~3号機で炉心溶融が起き、さらに3棟の原子炉建屋が水素爆発を起こした。大量の放射性物質が放出され、汚染水は今も増え続ける。

 深刻な事故を教訓に原発の安全規制が強化され、運転40年での廃炉が決まった。これにより、福島第1原発の6基を含めた12基が廃炉となる。さらに今後10年で10基以上が40年の期限を迎える。運転延長の特例はあるが、震災前の3基から廃炉が一気に増えることになる。

 危険な放射性物質を扱う廃炉作業は20~30年を要する。大量に発生する廃棄物の最終処分地も決まっていない。政府は安全で環境に配慮した手法で作業が進むよう、専門的な知見を総動員する必要がある。

 最難関は福島第1原発だ。工程は通常の廃炉より長い40年とされるが、核燃料撤去は見通せない。溶けた核燃料が残り、容易に人は近づけない。東京電力は廃炉に向けてロボットを投入したが、2号機では失敗し、1号機もトラブルで中断した。

 経済産業省は廃炉費用の予測を4倍の8兆円に引き上げた。作業が難航すればさらに増大する。負担するのは東電だが、一部を電力料金に上乗せする議論が進む。

 一方、福島県内では、ロボットなど廃炉技術の研究拠点が相次いで整備されている。被災地に新しい産業を起こし、雇用を生み出すことが復興には欠かせない。事故処理の国民負担を抑制するためにも、革新的な技術を開発することが急務だ。

 福島原発事故を受け、他国でも原発の規制は強化されている。東芝の巨額損失は、米国子会社の原発建設費が安全対策などで想定を大きく上回ったためとされる。

 世界で稼働中の原発は400基以上で、半分は運転30年を超えている。原発の新設に力を入れる中国やインドも、いずれ廃炉の時期が訪れる。内外の原発関連企業が廃炉処理を重視し始めたのは、需要拡大を見据えた動きと言える。

 政府は原発再稼働から軸足を移し、原子力関連の技術と人材を廃炉に生かすべきだ。先端産業として育て、世界の原発の安全な処理に貢献することが、チェルノブイリに匹敵するとされる過酷な事故を引き起こした日本の責務ではないか。

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