社説

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 2017年春闘はきのう、賃金相場をリードする自動車など大手企業の集中回答日を迎えた。

 最大の焦点となったベースアップ(ベア)の水準は、2年連続で前年の実績を下回る企業が相次いだ。円高傾向やトランプ米大統領の経済政策への懸念などから、経営側が慎重姿勢を崩さなかった。

 ベアは4年連続となったが、政府が求めた「少なくとも前年並みの賃上げ」は実現していない。4年目となる安倍政権主導の「官製春闘」は手詰まり感が強まったと言える。

 政治による民間への介入には限界があるということだろう。

 だが春闘の主要テーマである働き方改革でも政府は「官製」の姿勢を示す。安倍晋三首相が残業の上限規制問題で連合と経団連の裁定に乗り出し、事実上決着した。

 繁忙期の残業規制で、連合は「月100時間未満」を主張し、経団連は「月100時間以内」として譲らなかった。首相は「月100時間未満」にとするよう要請し、労働側に軍配を上げた形だ。

 しかし、もともと連合は月100時間の上限は「過労死認定ラインで到底あり得ない」と反発していた。政権の要請を受け、上限規制の導入を優先させたが、過労死ラインを越える残業の容認は禍根を残すことにならないか。

 過労自殺した電通新入社員の母親は「人間のいのちと健康に関わるルールに、このような特例が認められていいはずがない」と改めて反対の立場を明確にした。この声を重く受け止め、長時間労働の是正に労使が真剣に取り組まねばならない。

 労使合意では、残業は月45時間、年360時間まで、繁忙期は年6カ月まで月45時間超の残業を認める。特例は単月で月100時間未満、2~6カ月では平均80時間を上限とした。特例の延長分を含めた残業時間は年720時間以内に制限する。

 政府はこれを基に今月中に計画をまとめ、労働基準法改正を目指す。ただ、残業時間の過少申告などのルール違反が放置されれば、実効性は上がらない。法令違反に対するチェック体制も整える必要がある。

 今春闘で電機大手の労使は働き方改革に関する共同宣言を初めてまとめた。人手不足が深刻化する中、労使が協力して作業の効率化や業務内容を見直すことが欠かせない。

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