社説

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 オランダの下院選で、連立政権を率いる与党の自由民主党が第1党にとどまる見通しとなった。イスラム系移民の排斥や反欧州連合(EU)を訴え、急速に支持率を伸ばしていた極右政党の自由党は、結果を見れば伸び悩んだ。

 英国のEU離脱決定やトランプ米大統領の誕生など、世界でポピュリズム(大衆迎合主義)や排外主義のうねりが高まっている。

 4~5月にフランス大統領選、9月にはドイツ連邦議会選など、今年の欧州は各国の国政を左右する大型選挙が続く。今回のオランダ下院選は、排外主義がどれだけ拡大するかを占うものとして注目された。

 移民や多様な文化を積極的に受け入れ、「寛容の国」とされるオランダの有権者は、排外主義による混乱を回避する選択をしたと言える。

 自由民主党のルッテ首相は「オランダはポピュリズムに待ったをかけた」と勝利宣言した。過半数を獲得した政党はなく、新たな連立政権の協議に入るが、各党は「自由党とは連立を組まない」と明言する。

 ただ、自由党は一時、第1党に躍り出る勢いを示していた。ウィルダース党首はトランプ政権に連帯感を示したが、米国社会の分断は選挙期間中も解消されず、むしろ有権者の懸念を深めたのではないか。

 一方、与党の自由民主党は、年金受給年齢を引き上げた政策が不評だった。緊縮財政で社会保障費が削られる中、税金で移民を支援することに国民の反発は高まりつつある。自由党の掲げた移民排斥の主張が一定の支持を集めたことは否めない。

 ウィルダース党首は「ルッテ氏が勝利した。ただ、われわれも勝者だ」と強気の姿勢を示す。既成政治への不信の高まりは、欧州にとどまらず多くの国に共通する問題だ。国民の生活を安定させる政策を打ち出せなければ、排外主義が勢いづく可能性は残る。

 米国ではイスラム圏6カ国からの入国を規制するトランプ政権の新たな大統領令に対して、ホノルル連邦地裁が一時差し止めの仮処分を命じた。トランプ大統領は「前例のない司法による行き過ぎだ」と批判し、法廷で争う構えを見せている。

 排外主義は世界各地で混乱を広げ、社会を分断する。今回のオランダ国民の選択が流れを変える契機となるか、注視したい。

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