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 「廃棄済み」のデータが、実は内部で保管されていた。そのことが判明しても事実を公表せず、上層部が伏せるよう指示していた-。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報公開を巡る防衛省や自衛隊の対応は、ずさんというだけでは済まされない。「組織的な隠蔽(いんぺい)」が疑われる重大な問題である。

 稲田朋美防衛相は、不正行為や倫理違反などを調査する「特別防衛監察」を指示した。当然の措置で、遅きに失したくらいだ。

 稲田氏はいったん省内に調査委員会を設置する意向を示したが、与党内の異論を受けて見送っていた。当初から毅然(きぜん)と対処すべきだった。

 自衛隊は強大な武力を持つ実力組織だ。内部の判断で重要情報の取り扱いが左右されるようでは、「シビリアンコントロール(文民統制)」が骨抜きにされる恐れがある。

 組織を統率する大臣としての資質に改めて疑問符が付いた。自らの進退を考えるべきではないか。

 日報は、PKOに派遣された部隊が現地の状況を記録した文書だ。昨年10月にフリージャーナリストが情報公開を請求したが、防衛省は「廃棄済み」を理由に不開示とした。

 その後、範囲を広げて調べた結果、陸海空の自衛隊を統括する統合幕僚監部に電子データとして保管されていたとして、一部公表した。

 ところが、1月ごろまで同じデータが陸自内部にも存在したことが新たに判明した。そのことは陸自の制服組トップである陸上幕僚長に報告され、公表を検討したが、統合幕僚監部の防衛官僚が存在を明らかにしないよう命じたという。

 稲田氏は「隠す意図はなかった」と釈明するが、大臣自身、日報が再調査で「発見」された報告を約1カ月も受けていなかった。今回はさらに、陸自に保管されていた日報のデータが、存在を伏せたまま破棄された疑いも浮上している。

 日報には、現地での政府軍と反政府勢力の銃撃戦などが「戦闘」と生々しく記されていた。治安状況の深刻化を否定する政府にとっては「不都合な情報」といえる。

 本当に情報を隠す意図はなかったか、徹底的な調査によって「闇」にメスを入れるしかない。防衛省は調査期間を引き延ばさず、結果を速やかに公表することだ。

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