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 天皇陛下の退位を巡り、衆参両院の正副議長が陛下一代限りの特例法制定を柱とする国会見解を安倍晋三首相に伝達した。

 これを受けて政府の有識者会議が近く議論を再開し、最終提案の取りまとめにかかる。政府はそれを踏まえて法案を作成し、5月上旬にも国会に提出する方針だ。

 国会見解は、与野党が主張の隔たりを超えて合意にこぎ着けた。「妥協の産物」との見方もできるが、国民の代表である国会が議論を主導した形になった。

 憲法や皇室典範には退位に関する規定はない。陛下は昨年8月のビデオメッセージで、直接的な表現は避けながらも、退位の実現への強い思いを示された。

 特例法制定には皇室典範など関連法令の改正も必要だが、これで道筋は固まったといえる。前例のない法制度の検討だけに、国民が納得できるものにしなければならない。

 退位の法制度化については一代限りの立法を目指す与党と、皇室典範改正による恒久制度化を求める民進党などが対立した。だが「政争の具にすべきではない」との立場で一致し、全党派が協議を重ねた。

 最終的に自民党が譲歩し、皇室典範の付則に特例法と典範を「一体」と明記する規定を置くことなどで、自由党を除く各党と折り合った。

 退位に否定的な保守層にも目配りしつつ、国会見解に将来の天皇退位の「先例」になり得ると明記したことで、恒久制度化を掲げる野党側の主張に配慮した。

 憲法は天皇の地位を「国民の総意に基づく」と定めており、国会が主体的に取り組むのは当然だろう。83歳の陛下のご高齢などを考えると、立法化にあまり時間はかけられない。陛下の心情に共感した多くの国民も同じ思いに違いない。

 ただ、世論調査では皇室典範改正による恒久制度化を支持する回答が6割超を占める。特例法制定への国民の理解を得るには、政府や国会が丁寧に説明する必要がある。

 さらに、国会見解は女性宮家の創設など皇位継承を安定化させる方策にも言及した。政府に検討を促し、結果の国会報告の時期をいつにするかは与野党の協議に委ねた。中断している女系・女性天皇容認に関する議論も再開し、未来に向けた国民の合意形成を図るべきである。

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