社説

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 中国の全国人民代表大会(全人代)が閉幕した。今回も国防費の増大と経済問題が関心を集めた。

 李克強首相は政府活動報告で、2017年の実質国内総生産(GDP)成長率の目標を「6・5%前後」とし、前年より事実上引き下げた。成長率の引き下げは3年連続だ。成長優先から構造改革を重視する姿勢を改めて示したと言える。

 しかし、鉄鋼、石炭などの過剰在庫の削減や国有企業の統廃合といった構造改革は容易ではない。世界第2の中国経済の動向は世界経済に大きく影響する。安定成長に向け慎重なかじ取りが求められる。

 中国の昨年の実質GDPは前年比6・7%増となり、成長率は15年から0・2ポイント下がった。天安門事件で経済制裁の影響を受けた1990年以来26年ぶりの低水準で、景気減速が鮮明となった。ただ、政府目標の「6・5~7%」には収まった。

 減速は民間投資の低迷が主な要因で、公共投資の拡大と不動産投資の過熱によって下支えされた面がある。中国政府はここ数年、利下げなど金融緩和政策を取り、投機マネーが不動産市場に流れ込んでいる。

 李氏は政府報告で「安定成長を保ちながらリスクを防ぐことに注力し、金融の安定を守る」と強調した。不動産バブルを抑制できるか、注視する必要がある。

 気がかりなのは、保護主義政策を掲げる米トランプ政権との貿易摩擦だ。米国のモノの貿易赤字の約半分は対中国が占めることから、トランプ氏は中国製品に対する制裁関税を次々に決定するなど対抗姿勢を強めている。

 一方、中国の政府報告は「各種の保護主義に反対し、経済のグローバル化がより公正で合理的な方向で発展するよう導く」と、米国をけん制した。米中の貿易摩擦は世界経済に悪影響を及ぼしかねない。両国は対話を重ねて、無用な対立は避けてもらいたい。

 中国の都市と農村の経済格差の深刻化も大きな課題だ。政府報告は、農村の貧困人口を1千万人以上減らすことも明記した。

 だが、成長鈍化は雇用情勢に響く。構造改革で掲げた5千万トンの鉄鋼生産量削減は地方にとってもマイナスに働く。中国は、社会不安の抑制と改革という困難な道に答えを見いださなければならない。

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