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 衆院の情報監視審査会が昨年2月から今年1月までの秘密保護法の運用状況をチェックし、報告書を公表した。それによると、政府が指定した特定秘密443件のうち、約4割の166件で秘密事項を記録した行政文書が存在しなかった。

 「重大な秘密がある」と項目を列挙して保管する「器」を用意しながら、多くは中身のない「カラ指定」のまま放置していた。ずさんな対応というしかない。

 官僚組織による恣意(しい)的な秘密指定がまん延すれば、対象が際限なく拡大する恐れがある。審査会が「法の基本理念から外れた運用」と批判するのも当然だ。

 他にもルールを逸脱した運用がないか、国会はこれまで以上に厳しく目を光らせる必要がある。

 対象文書の不存在は、審査会が各省庁に対象文書の件数の報告を求めたことで初めて明るみに出た。

 報告書によると、問題が発覚したのは6機関で、防衛省132件、防衛装備庁14件と防衛関係が突出している。外務省や内閣官房、警察庁、公安調査庁も含まれている。

 指摘を受けて各省庁が精査した結果、情報を記録した電子機器などがあり、最終的に「問題なし」とされたものも少なくない。

 ただ、審査会が疑問視したのは、情報がまだまとまっていないのに、役所が見込みに基づいて事前に秘密指定しておく「あらかじめ指定」である。今回は15件見つかった。

 文書などになってから指定すれば決裁に時間がかかる。それが省庁の言い分だが、実際は中身のない「秘密」が増えた。お役所の理屈に納得する国民はどれだけいるだろう。

 他にも職員の頭の中にある「知識」を特定秘密に指定した例があったが、審査会が疑問を呈し、そうしたケースは指定解除となった。

 審査会の報告書公表は昨年に続き2回目だ。今回も国会法に基づく政府への「勧告」は見送ったが、「あらかじめ指定」の拡大を防ぐための適切な規定作成など、改善策を求める「意見」は明記された。

 特定秘密は国会にも内容がはっきり示されず、運用には多くの問題点が指摘されてきた。政府判断で秘密が増えれば国民の「知る権利」を損なう懸念が増す。政府は審査会の意見を重く受け止め、指定を最低限にとどめるよう努力すべきだ。

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