社説

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 安倍内閣の閣僚から、またもや耳を疑うような問題発言が飛び出した。

 大津市で開かれた地方創生に関するセミナーでのことだ。山本幸三地方創生担当相が、外国人観光客への文化財の説明や案内が不十分、と指摘した上で、こう続けた。

 「一番のがんは文化学芸員と言われる人たちだ」「この連中を一掃しなければだめだ」

 全国の学芸員とがん患者をおとしめ、侮辱する言語道断の発言と言うしかない。思い込みと偏見に満ちている。

 学芸員は芸術作品や歴史資料の収集と保存、展示、調査研究を手がける専門職員だ。限られた予算の中で宣伝や交渉、図録作成、事務作業にも奔走する、展覧会の「黒子役」である。

 歴史的な財産を今の人に分かりやすく伝えるとともに、未来へと引き継ぐ役割を担う。日本の文化を守る最前線で奮闘する人たちで、歴史や伝統を観光へと結びつけるためには、協力が欠かせない。

 担当相の例え話がひどい。

 「大英博物館はロンドン五輪後に大改造したが、一番反対したのが学芸員たちで全部首にして入れ替えた」。極めて疑わしい話で、反発や憤りの声が上がるのは当然である。

 担当相はセミナーの終了後、「学芸員も観光マインドを持ってほしい」と釈明したが、翌日に発言を撤回、謝罪した。

 昨年来、閣僚による独りよがりの失言、暴言は枚挙にいとまがない。先日は東日本大震災の原発事故で、福島県外で自主的に避難生活を送る人たちについて、今村雅弘復興相が「本人の責任でしょう」などと発言、撤回し謝罪している。

 鶴保庸介沖縄北方担当相は、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画に反対する沖縄県と県民の感情を逆なでするような物言いを繰り返す。

 自衛隊の国連平和維持活動を巡る稲田朋美防衛相の詭弁(きべん)は、国会軽視も甚だしい。森友問題を含め、国会が紛糾し、審議が滞る責任は明らかに政権側にあり、猛省すべきだ。

 これを「自民党1強」のおごりと言わずして何と言えばいいのか。安倍晋三首相の任命責任が問われる事態である。

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