社説

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 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加していた陸上自衛隊部隊の第1陣約70人が帰国した。残る部隊も5月末までに引き揚げる予定で、5年超に及んだ活動は全て終了する。

 派遣部隊には昨年11月、安全保障関連法に基づく新任務「駆け付け警護」が付与された。国連や非政府組織(NGO)の関係者らが武装集団や暴徒に襲われた際、救出に向かう任務で、隊員は状況に応じて武器の使用が許される。同時に、死傷者が出るリスクは格段に高まった。

 南スーダンでは政府軍と反政府勢力の対立が続き、派遣部隊の宿営地がある首都ジュバ周辺も危険な情勢とされる。新任務付与から半年もたたずに撤収が決まったことで、駆け付け警護実施の可能性は極めて低くなった。隊員の家族だけでなく、政府関係者も胸をなでおろしているのではないか。

 昨年7月、ジュバで発生した武力衝突では270人以上が死亡した。派遣部隊の日報には、「戦闘」に巻き込まれる事態を憂慮した記述があり、緊張の高まりが浮き彫りになった。

 今年3月には隊員5人が政府軍兵士に拘束され、一時、銃を没収された。敵と味方が入り乱れる紛争地での任務は、予測できない危険と絶えず背中合わせの状況にある。

 そもそも、自衛隊は憲法9条の制約で海外での武力行使が認められず、他国の軍隊と全く同じ活動はできない。PKO参加は「紛争当事者間の停戦合意の成立」など5原則が前提で、今回の派遣部隊も道路などのインフラ整備が主な任務だった。

 駆け付け警護に向けて政府は武器使用基準を緩和し、「警告射撃」などを可能にした。だが相手が反撃すれば戦闘に発展する恐れがある。

 政府は国会で、そうしたリスクについて丁寧な説明をせず、運用に踏み切った。撤収は「治安悪化が原因ではない」とするが、新任務の付与は現地の危険を認識しながら実績づくりを優先させた、との見方がある。

 南スーダンからの撤収で、自衛隊部隊を派遣する形のPKOはなくなる。武器を手にする活動だけが国際貢献ではない。日本にふさわしい協力について、改めて考えたい。

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