社説

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 「共謀罪」は、集団でよからぬはかりごとをすることを罰するものだ。何がよからぬのか、判断するのは捜査機関である。

 その「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新たに設ける組織犯罪処罰法の改正案について、自民、公明両党と日本維新の会が一部修正することで合意した。

 3党は修正案を共同提案し、18日の衆院本会議通過を目指す。与党側には野党の日本維新の会を取り込むことで、「強行採決」との批判をかわす狙いがある。しかし、数の力による強引さに変わりはない。

 修正合意では、法案の本則に取り調べや捜査の適正確保に十分配慮することを盛り込む。付則には録音・録画による取り調べの可視化や、衛星利用測位システム(GPS)を使った捜査の立法措置について、検討することを記す。

 恣意(しい)的な捜査をさせないための修正というが、捜査機関は可視化の流れは織り込み済みだ。さらに最高裁が令状なしの実施を違法と判断したGPSの活用について、立法化の足がかりを得る。

 これでは捜査当局のための修正ではないか。むしろ違法な捜査で人権が侵されることのないようチェック機能を設けるなど、国会の内外で広がる懸念に答えるべきだ。

 先月来の国会審議で浮かび上がった中に、法案と答弁の「曖昧さ」がある。一般人は捜査の対象になるのか、何をすれば罪に問われるのか。根源的な疑問に対し、法務大臣と副大臣の答弁で食い違う場面が目立った。

 法務大臣が満足に答弁できず、代わって法務省の担当者が質問に答えるような法案を国民が理解することは不可能だ。時の政府や権力によって、いかようにも解釈できる可能性が高いことも物語っている。

 覚えのない罪で調べられるかもしれないとの不安が広がれば、市民社会の萎縮につながる恐れがある。

 政府、与党が衆院通過を急ぐ方針には、サミットや東京都議選などの政治日程が影響しているとみていい。不誠実な答弁を含め、あまりに国民を軽んじている。多くの疑問に答えぬままの採決は許されない。

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