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 改憲に向けた自民党の動きが前のめりになってきた。

 先月3日の「憲法記念日」に安倍晋三首相は自衛隊を憲法9条に明記する構想を示し、2020年に「新しい憲法」を施行する意向を表明した。

 党内の憲法改正推進本部はその提案を踏まえ、具体的な検討に着手した。来年の通常国会で衆参両院の憲法審査会に改憲案を持ち出す考えという。

 衆院の憲法審査会は昨年11月に再開したが、首相の発言が波紋を呼び、一時中断した経緯がある。自民党は国会での議論を待たず首相主導で改憲を急ぐ方針に転換したことになる。

 併せて推進本部の幹部会を9人体制から21人に拡大し、首相に近い顔ぶれを多く送り込んだ。異論を封じ込める狙いとの見方がある。最終的に数の力で抑え込む意図が首相とその周辺にあるのなら、独断専行のそしりは免れないだろう。

 首相が提示したのは「戦争の放棄」「戦力不保持」などを定めた9条1、2項を残し、自衛隊に関する文言を書き込む改正案だ。自民党は、それに高等教育無償化や大災害時の緊急事態条項、参院選「合区」解消を加えた4項目を柱に議論するという。公明党や日本維新の会の賛同を狙ったのは間違いない。

 だが、改憲の発議を行うのは国会の役割だ。与野党合意を目指す議論に水を差す首相の言動は、「国会軽視」と批判されても仕方がない。

 それでも自民党が首相の考えに沿った提案をすれば、これまでの流れを無視する形になる。国民の反発も招き、首相がいう「静かな環境」での議論とは程遠いものになりかねない。

 そもそも、憲法を順守すべき首相が改憲案を提示すること自体、違憲の疑いが指摘される。党総裁との立場の使い分けはこじつけとしか映らない。

 気になるのは自民党内の議論の低調さである。同党が12年にまとめた改憲草案は「国防軍の保持」を明記するなど、首相の提案とは大きく異なる内容だ。その点を指摘する石破茂元幹事長は孤立気味とされる。

 首相の思惑ばかりが先行すれば、肝心の中身の議論はどうしても低調になる。それでは主権者の国民が置き去りにされる。

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