社説

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 国会の会期末が迫り、与野党の攻防が激しさを増している。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改正案を巡り、与党側は審議時間に区切りを付けて、採決に向けた環境を早く整えたい考えだ。

 先例などから、参議院では20時間とはじいているが、これまでの質疑を振り返ると審議が尽くされたとするには、あまりに中身が乏しい。「そもそも法案の必要性があるのか」という根本的な疑問の声にも、政府はきちんと答えないままだ。

 法案は国連の国際組織犯罪防止条約の締結に必要とされる。だが、この条約はテロ対策が目的ではない。条約を結ばなければ国際的な枠組みから日本が漏れ、情報が入ってこないという政府の説明は説得力に欠ける。

 本当に「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ新たな法を整備しなければ、条約を結べないのか。

 犯罪が実行されれば計画段階で参加していた共謀者を処罰できる「共謀共同正犯」や、既存の準備罪などによって、条約を結ぶ条件は十分に整っていることが、国会審議などで明らかになってきた。

 だが、政府はこうした指摘に向き合うことなく、「条約の規定から、改正案を成立させなければ条約の締結は難しい」などと繰り返すばかりだ。

 「東京オリンピック・パラリンピックを開催できないと言っても過言ではない」との強弁は乱暴と言うしかない。

 「共謀罪」は犯罪の計画(共謀)段階で罰することから、「国家が国民の心の内に踏み込んでくる」「捜査当局による監視が強まる」と危惧する声が上がる。連日のように各地で、反対集会や街頭での運動が繰り広げられる。

 政府は「一般人が捜査の対象になることはない」とする。ならば不安を解消するために、憲法が保障する国民の権利を侵害しない規定や、警察の捜査の乱用を防ぐ仕組みを、具体的に法案に盛り込むべきだろう。

 法相をはじめとする政府の答弁だけでは不十分である。

 このようなかたくなで中身に乏しい国会審議で、法案を成立させることは許されず、国民の理解も得られない。まだまだ審議が足りない。

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